後継者へ徐々に権限移譲


後継者は決めているが、完全に任せられる状況ではない。万一認知症などで経営が危うくなることを回避しつつ、徐々に権限移譲を行いたい。



髙志さんは、会社の操業経営者である。

後継者として、長男の和夫さんを入社させ取締役として、経営のノウハウを伝承している。

しかし、髙志さんは和男さんの経営能力を全面的には信頼していない。和男さんも、父に代わって経営を完全にできるという自信は持っていない。

 



髙志さん所有の会社の株式につき、髙志さんを委託者兼当初受益者、和男さんを受託者兼二次受益者とする民事信託(家族信託)を締結する。

 

当面の間、髙志さんを指図権者とする指図権を設定しておく。

 

信託スタート後は、会社の株式議決権のみが後継者の和男さんに移動する。髙志さんは指図権により、従前どおり代表取締役として会社の経営を行う。

 

髙志さんは、和男さんの成長を確認しながら、指図権を柔軟に使い徐々に和男さんに権限を移していく。

 

万一、髙志さんが認知症になった場合は、自動的に受託者の和男さんが議決権を行使できるようになり、事業承継が完了する。