家族信託は税対策になるか?


財産管理の事を考えるとき、税金のことは特に気になります。

 

相続税や贈与税が発生しそうなときは、税金が少なくなる方法は無いかよく検討しなければなりません。(脱税はNGです!)

 

家族信託を使うと所有者はいなくなります。ということは、信託財産として受益権で資産承継すれば、譲渡に係る贈与税や相続税はかからなくなるのでしょうか?



家族信託がスタートすると、信託財産は受託者の名義になりますが、受託者固有の財産とは別に管理されます。所有者のない財産となります。

 

【税法上の所有者】

「所有者のない」というのは、民法上の扱いです。しかし、税法上の扱いは異なります。

 

税法上は、「受益者=所有者」として課税されることになります。

 

このことから、委託者と受益者が同じ「自益信託」の場合は、税法上の見方では財産の移動はないものとなりますので、税金は発生しません。

 

委託者と受益者が別の場合は、委託者から受益者に贈与があったものとして贈与税の対象になります。

 

委託者や受益者の死亡により新たな受益者になるときには相続税の対象になります。

 

結論としては、家族信託(民事信託)を組成して、信託財産としたことにより直接節税になることは無いということになります。

 

【節税効果は無いのか】

財産の移動に伴う税金に関しては、上記のように節税効果はありません。

 

しかし、信託財産の管理方法によっては節税効果は大きなものがあります。

 

①節税対策ができる。

 認知症を発症してから後見人を付けた場合、被後見人(所有者)の生活を守ることにしか財産を使うことができません。

・孫の教育費を援助する

・子の住宅取得費用を援助する

・家族のために自宅を改修する

・家族旅行の費用を負担する ・・・・

 

 これまで被後見人が負担していたとしても、後見制度の中では支払うことができなくなります。

 

 節税対策も不可能になります。

 

 家族信託(民事信託)であれば、信託目的に反しない範囲であれば受託者の裁量で信託財産から支払うことができます。

 

②財産の有効活用

 収益不動産などの管理は、高齢になると難しいものがあります。賃貸人との契約や、老朽化に伴うメンテナンスなど難しい判断もしなくてはなりません。

 

 所有者が認知症になると、これらの法律行為が出来なくなります。改修工事をして入居者を増やすためには、工事業者との契約が必要ですができないのです。

 

 家族信託(民事信託)が始まれば、名義人となる受託者のハンコで法律上有効な契約ができるようになります。資産の有効活用ができるようになるのです。

 

【認知症患者の財産を家族が管理できるのは信託だけ】

 認知症患者の財産を管理する制度としては、後見制度があります。しかし、後見制度は家庭裁判所の監督の下、本人の為だけの財産保全が目的になりますので、使途が厳しく制限されます。

 

 家族信託(民事信託)では、契約時の本人の財産活用の希望(信託目的)に沿って、受託者が管理・処分します。家族のために使うことや節税対策も可能です。

 

 老いて管理が難しくなった親に代わって、子が財産を管理するという常識的なことができる度です。(ただし、信頼して財産を託せる家族がいないと成り立ちません。)

 

 弊所では、以上の理由から信託には節税効果はあると考えます。