こんにちは、信託コンサルタンタントの宿輪です。
民事信託(家族信託)は、制度ができてから10年以上経ちますが、実際に使われ出したのは最近の事で、身近で実例を見た方は少ないと思います。
この「信託情報」では、皆様の信託に対する疑問をランダムに取り上げ解説しています。
【本日の話題】
配偶者が既に認知症で施設に入所している。
この場合、財産所有者が先に亡くなると、配偶者に相続された財産は凍結状態となります。
成年後見制度を利用しても、配偶者が元気な時の希望に沿った使い方は出来ません。
民事信託(家族信託)を使えば、財産の凍結を回避することができます。
一郎さんの妻和子さんは、認知症となり施設に入所しています。
夫婦には長男人志さんがおり、相続財産をすべて長男に相続させることで夫婦の合意していました。
しかし、現状で一郎さんがなくなった場合、遺産分割協議のためには法定代理人を立てる必要があり、和子さんの法定相続分(1/2)が和子さんに相続されます。
一郎さんが、全財産を長男に相続させる遺言をしても、和子さんの遺留分(1/4)については和子さんが相続することになります。
認知症凍結回避信託
委託者兼当初受益者を一郎さん、受託者を長男人志さん、
二次受益者を人志さん(3/4),和子さん(1/4)
一子さん死亡後の三次受益者を人志さんとする信託契約を締結。
民事信託(家族信託)の効果
一子さんにも遺留分に相当する受益権があるため、遺留分によるトラブルは発生しない。
一子さんが亡くなった後は、すべての受益権が人志さんに移る。その後、信託を終了させて完全な所有権にすることができる。
一子さんに成年後見人がつけられた場合でも、信託財産は受託者である長男の人志さんの判断で使うことができ、後見人は身上監護に専念できる。