信託スタート後に後継者を決める


こんにちは、信託コンサルタンタントの宿輪です。

 

民事信託(家族信託)は、制度ができてから10年以上経ちますが、実際に使われ出したのは最近の事で、身近で実例を見た方は少ないと思います。

 

この「信託情報」では、皆様の信託に対する疑問をランダムに取り上げ解説しています。


【本日の話題】

信託を利用した事業承継は、経営者の万一の事態にも対処できますので、会社経営の保険になります。

 

しかし、後継者を確定できていない場合は、信託契約書で後継者を指定することができません。

 

そのような場合は、信託をスタートした後で後継者を決定することもできます。


【後継者の役割】

後継者は、最終的には自社株式の所有者となります。

経営者は、まず委託者兼受益者となり受託者に指図して議決権行使を行わせます。経営者が認知症や脳梗塞などで意思能力を失ったり死亡した場合は、受託者の裁量で議決権行使をしますので、会社経営は守られます。

 

受託者は、経営者に替わって議決権を行使できる者(親族や共同経営者など)になってもらいます。

 

後継者は、まずは受益者として信託に参加します。その後、後継者に経営を任せられる状況になった時に、受益者と受託者の合意により信託を終了し、事業承継が完了となります。

 

【後継者を選ぶ】

信託スタート時に後継者未定の場合の、指定方法

 

①経営者が指定-経営者が、公証人の認証を受けた書面などで後継者を指定する。

 

②選定委員が指定-経営者が後継者をできなかった場合、信託契約書で指定した後継者選定委員が協議し、後継者を指定する。

 

この条項を信託契約書に付けておくことで、経営者が信託スタート後に後継者を見極めることができ、また、経営者が指定できなかった場合も、選定委員により後継者を指定することができます。

 

後継者が育つまでは、経営者が指定した受託者が議決権を行使して経営を担当しますので、経営者が認知症になっても経営破綻の危険は回避できます。

 

民事信託(家族信託)は、信託法で様々な規定が設定されていますが、別段の定めをすることにより自由にストーリーを作ることができます。

 

まずは、どのようなことが可能であるのか、信託法に精通した専門家へご相談してみてはいかがでしょうか。


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