残余財産受益者と残余財産帰属権利者


こんにちは、信託コンサルタンタントの宿輪です。

 

民事信託(家族信託)は、制度ができてから10年以上経ちますが、実際に使われ出したのは最近の事で、身近で実例を見た方は少ないと思います。

 

この「信託情報」では、皆様の信託に対する疑問をランダムに取り上げ解説しています。


【本日の話題】

 家族信託が終了し、精算の事務が終了すると結了となります。

 

 信託終了時に財産が残っている場合、その財産を取得するのは「残余財産受益者」または「残余財産帰属権利者」です。

 

両者とも残りの財産を受け取る人なのですが何が違うのでしょうか。



 信託財産を使い果たし、委託者から財産の追加が無ければ信託は続けられませんので当然に終了となります。

 実際の家族信託では、終了時に財産の残りがある状態で終了事由を迎えることが多いです。終了事由は、

 法律の規定によるもの

 ・信託財産が無くなった

 ・受託者がいなくなって1年経った

 ・受託者と受益者が同じになって1年経った・・・等

 

 契約で定めるもの

 ・信託期間終了

 ・受益者の死亡・・・等

 

契約で決める終了事由は自由に決めることができます。

 

【残余財産受益者】

 残余財産受益者は、残余財産を受け取るという受益権の権利者です。

 受益を受けるのは信託終了後ですが、受益者としての権利は終了前から保有しています。受益者としての給付を受ける以外の権利は行使できるのです。

 

 つまり、受託者に対する監視,監督をする権利が行使できます。残余財産受益者は、適正に信託が終了した後に残りの財産を受け取りたいわけですから、受託者が不適正な使い方をして無駄に財産を減らすことがないようにしたいのです。必要に応じて、帳簿類を見せてもらったり報告をしてもらうことができるということです。

 

 ただし、適正に信託がされた結果、財産が無くなって終了し残余財産が受け取れないときは、財産を受け取ることはできなくなります。

 

【残余財産帰属権利者】

 残余財産帰属権利者は、信託終了時に財産が残っていた場合にはその財産を受取る権利がある人です。受益者ではありませんので、受益権はありません。信託期間中は、当事者としての権利行使をする場面は無い人になります。

 

 受託者に対するチェック機能を持たせたい場合には、残余財産受益者とした方が良いかと思います。逆に、受託者に対する信頼が厚く、受託者の裁量でスムーズな信託行為をして欲しい場合は、残余財産帰属権利者として指定した方がよいでしょう。


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