認知症患者の資産200兆円


こんにちは、信託コンサルタンタントの宿輪です。

 

民事信託(家族信託)は、制度ができてから10年以上経ちますが、実際に使われ出したのは最近の事で、身近で実例を見た方は少ないと思います。

 

この「信託情報」では、皆様の信託に対する疑問をランダムに取り上げ解説しています。


【本日の話題】

2018年8月26日の日経新聞に、注目の記事がありました。

 

この話題も、書いたつもりでしたが抜けていたようですので、遅ればせながら、ご紹介したいと思います。



【凍結資産200兆円】

 

「高齢化の進展で認知症患者が保有する金融資産が増え続けている。2030年度には今の1.5倍の215兆円に達し、家計金融資産全体の1割を突破しそうだ。認知症になると資産活用の意思表示が難しくなり、お金が社会に回りにくくなる。国内総生産(GDP)の4割に相当するマネーが凍結状態になれば、日本経済の重荷になりかねない。お金の凍結を防ぐ知恵を官民で結集する必要がある。」

という記事が、日経新聞に載っていました。そして結論は「生きた形で若年層に金融資産をシフトさせる方策が必要となるだろう」という意見を締めに使っています。

【高齢者の資産】

日本では、個人資産の65%を60歳以上が所有しています。平均寿命の延びもあり、高齢者の資産が承継される相続発生時点で、相続人が既に高齢者となっているのです。(90歳で相続が発生した場合、子世代も60歳以上があたりまえ。)

高齢者は、資産管理に関して保守的な傾向があります。(アクティブな方もいますが少数です)

元本保証のリスクのない運用に、資産の大部分が流れるのです。

新聞記事の200兆円は、認知症患者の資産に限った数字ですが、いわゆる生きた形の資産運用という意味では、リスクの無い資産運用に偏った高齢者の金融資産も同じ問題を抱えています。

【民事信託(家族信託)がある】

多分、この記事を書いた方は、民事信託(家族信託)の事をあまり知らないのではないかと思います。記事の中では、「認知症になることを前提では刺し合うことに抵抗があり利用率が低い」とコメントされています。

信託の利用率が低いのは事実ですが、その理由は、民事信託(家族信託)が一般に知られていないからです。

信託による財産管理は、後見人制度のように認知症になったときの管理ではなく、委託者(恒例となって、財産管理が面倒になった人)が、信頼する家族に管理を託すものであり、万一認知症になってもその管理が続けられるというものです。

生きた形で若年層へ金融資産管理をシフトできるのです。次世代の受託者により、元本保証だけでなくリスクのある運用もされるようになるのです。

認知症患者の財産管理を裁判所の関与なくできるのは、信託だけです。


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