親なきあと信託ポイントは?

障害者支援信託の検討すべきポイント

子供に障害がある場合、親は子の将来の生活を守るため、財産を少しでも多く残そうとすることが多いです。

 

しかし、親が高齢となってくると、認知症や亡くなった後の心配が大きくなります。子自身での管理は困難です。意思能力が有ったとしても、周りのサポートが必要です。

 

障害を持つ子を受益者として、その兄弟や親せきで信頼できる人に受託者をしてもらう信託を検討することがあります。

赤の他人ではなく、近しい人に血の通った支援を期待するのですが、受託者の生活にも配慮しないとうまくいきません。

【認知症対策と親なきあと対策の違い】

 

民事信託で一番多い認知症対策は、高齢の親が委託者兼受益者となり、受託者となる子に信託財産の管理処分権限を委譲します。そして、その親が亡くなると信託を終了として、残余財産を信託契約に従い分割しますので、以下の効果が見込まれます。

 

⑴高齢で財産管理の難しくなった親に代わり、財産を有効活用。

⑵残余財産の分割により、遺言と同等の効果を発生。

 

親の年齢は70代~、受託者の年齢は40代~となります。

 

信託期間としては、5年~20年くらいの見込みで、受託者もそれなりの年齢ですから、ある程度生活が安定している年代です。

 

しかし、障碍者支援の場合、

親(委託者)の年齢は70代以上、子(受益者)の年齢は40代~が多くなります。

受益者は、受益者と年齢の近い兄弟等を指定することが考えられます。

 

日本人の寿命は伸び続けていますので、受益者の死亡までカバーするとなれば50年近い期間となるかもしれません。

 

受託者も受益者と一緒に年齢を重ねますので、受託者の認知症や心身の衰えもあります。

 

受託者の衰えの対策として、二次受託者を決めたとしても、交代が必要になったときに後継受託者が任務をできる状況にあるのかは難しい問題です。50年先までできることを考えれば、20歳前後の人でなければならないと思います。就職・結婚・出産・引っ越し...など、不確定要素が多すぎます。

 

後継受託者の指定方法を決めておき、必要になった時点で後継受託者を指定することも可能ですが、そのときに適任者がいるかどうかは不透明です。

 

受託者として法人を設立することも可能ですが、元々の親の希望「親身になってくれる身内に面倒見てもらいたい」には沿わない形になるかもしれません。

 

【受託者に無理強いは避ける】

 

このように、親なきあと信託は設計が困難です。

 

現実的な解決法として、弊所では後見制度との連携を提案することがあります。

 

受益者の兄弟や従弟などが無理なくできる期間を信託で管理し、年齢や仕事の関係で受託者の任務を遂行することが困難になったとき、受託者が辞任して後を後見制度に託すことを予定した信託です。

 

委託者の依頼を直接受けた受託者に、できる期間は頑張って受益者のために信託財産の管理をしてもらい、その後は、後見人制度で本人の権利を確実に擁護してもらうという考え方です。信託の相談に来られる方の大半は、「後見制度は使いたくない」という考えをお持ちです。しかし身内とはいえ、遠い将来について縛りをかけてしまうことのリスクを説明すると、後見もやむなしということに落ち着くことが多いのです。

 

障がいを持つ子本人だけでなく、関わる親族の生活まで考慮して、信託で誰かがつらい状況とならないようにしなければなりません。